公開日: 2026-06-03
WienerBlutの香水3選。ウィーンの記憶を纏うフレグランスを知ろう
ウィーンには、19世紀末のいわゆる〈世紀末ウィーン〉の記憶を香りに翻訳しているフレグランスブランドがあります。WienerBlutは、19世紀末のウィーンに実在した香水のレシピも参照し、当時の風俗や芸術を香りに落とし込んだフレグランスブランド。今回は、WienerBlutの世界観と香水を紹介します。
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WienerBlut|世紀末ウィーンを主題にする香水
WienerBlut(ウィーナーブルート)は、2009年にアレクサンダー・ローバーがウィーンで創業した、オーストリア発のユニセックスフレグランスブランドです1。ブランド名は、1873年にヨハン・シュトラウス2世が作曲したワルツ「WienerBlut(ウィーン気質)」 に由来します。
WienerBlutが表現するのは、19世紀末に文化的な爛熟期を迎えていたオーストリアの首都・ウィーン。グスタフ・クリムトやエゴン・シーレ、オスカー・ココシュカといった画家に、アドルフ・ロースのような建築家も、さまざまな分野で素晴らしい芸術家があらわれました。
ブランドを設立した当初は、かつてのウィーンに実在した香水のレシピをもとに香りを構築していったそう。扱うモチーフは世紀末ウィーンを生きた精神科医・フロイトの論文であったり、オーストリア帝国下で実際に行われていた聖体祭であったり、ひとつひとつが当時のウィーンに思いを馳せて丁寧につくられていることがわかります。

WienerBlutの香水はモチーフが見どころ
WienerBlutの香水は、精神科医・フロイトの論文や祝日の聖体祭など、19世紀末のウィーンに実在したものから着想を得ています。いくつかの例を見るだけでも、興味深さが伝わるのではないでしょうか。
| 香水 | 着想のモチーフ |
|---|---|
| フロイディアン ウッド | フロイトの著作『夢判断』 |
| ウンハイムリッヒ | フロイトの論文「不気味なもの」 |
| エクス ヴォート | オーストリア帝国の祝日・聖体祭 |
| パレ ニザーム | フランツ・フェルディナント大公のインド・ハイデラバードへの旅行 |
| ヘスペリア | オレンジを育てる温室 |
ヘスペリアはたとえば「オレンジの温室への賛辞」と説明されていますが、これは19世紀末のウィーンで実際に人気があった香り。当時は富裕層のみが柑橘類を農園で育てられたことに関連するそうです1。それぞれの香水に込められた想いを知れば、より一層香りを楽しめそうですね。
WienerBlutの香水のボトルデザイン

WienerBlutの香水のボトルは、創業者であるローバー自身のコレクションにあったアンティークの香水ボトルや、ウィーンの薬局で実際に使われていたボトルがモチーフ。デザインを手がけたのはBuero New Yorkのアレックス・ウィーデリンだそう2。手仕上げのためひとつずつ形が微妙に異なるのも魅力です。
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WienerBlut「Klubwasser」
WienerBlutの「Klubwasser」は、折れたばかりの小枝や匂い立つ草を抱く森の中を主題にしたグリーンウッディです。ネロリやアンジェリカルート、エレミが森の入り口を示し、バナナリーフとガルバナム、ネトル、アイビーが瑞々しい緑を広げ、スモークドウッドやレンティスクが木陰の温度を残します。
文明化によって崩されることのない、何世紀にも渡る人類の哲学的概念を讃える、未開拓の自然そのものが持つ美しさを際立たせる香り。折れたばかりの小枝、匂い立つ草、ダークグリーンのイラクサが、樹木の茂る丘を抜ける高貴な野生の通り道を示します。
https://wienerblut.jp/
WienerBlut「Elysion」
WienerBlutの「Elysion」は、グスタフ・クリムトが描いたエリュシオンの野に着想し、純粋な喜びと幸福、愛が共存する理想郷を香りにした一本です。セドラとピンクペッパー、アンジェリカルートが瑞々しい光を放ちます。さらにフィグリーフとアニス、ウォータージャスミンが控えめなフローラルを重ね、アンバー、ムスクが透明な余韻を残します。
「純粋な喜び、純粋な幸福、純粋な愛を見つけることができる唯一の理想的な領域」。明るい光、青々とした新鮮さ、控えめな花の香りの繊細で無形のマントのように身にまといます。
https://doinel.net/product/183301438
WienerBlut「Therion」
WienerBlutの「Therion」は、クリムトが用いる黒、茶、青のパレットと、ギリシャ神話で冥府の最奥を支配した獣神テュポンに着想を得た、ダークでスパイシーな一本です。ベルガモットとブラックペッパー、キャロットシードが鋭く立ち上がりながらも、カデやサンダルウッド、アンバー、ムスクが温度を残します。
テュポン、またはテュフォエウスは、かつて冥界の最も深い領域を支配していました。クリムトは、黒、茶色、そして不思議な青の色合いで、この獣を敵軍の中心に据えています。
https://doinel.net/product/183301384
ウィーンの歴史に想いを馳せて香りを試すと、ボトルの向こうに19世紀の風景が立ち上がってくるかもしれません。気になる1本を見つけて、その物語に触れてみてくださいね。
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Footnotes
-
WienerBlut 日本公式サイト https://wienerblut.jp/ ↩ ↩2
-
doinel|Interview with Alexander Lauber/ WienerBlut https://doinel.net/journal/10449 ↩
