公開日: 2026-05-14

Canomaの気になる香水5選。源氏香のロマンに思いを馳せて

源氏物語の巻名を冠し、ボトルには源氏香の意匠を宿す。そんな香水があると聞いて、心が動いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、日本の感性をフランスの調香で仕立てたフレグランスブランド Canoma(サノマ)について、ブランドの成り立ちと意匠の背景、気になる5本の香水を紹介します。

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Canomaは、日本の感性とフランスの調香が出会ったブランド

Canomaは、日本の感性とフランスの技術が出会って生まれたフレグランスブランドです。2020年9月にパリでローンチされ、ディレクターを渡辺裕太が、調香をフランスの調香師ジャン=ミッシェル・デュリエが手がけています。

ディレクターの渡辺裕太は香水クリエーター。香水クリエーターと調香師の関係性は、洋服にたとえると「デザイナーとパタンナー」に似ているそうです1

Canomaの香水は、すべて源氏物語の巻名を冠しています。同時に付された「1-24」や「2-23」といった番号は、開発時の試作品番号2。たとえば「1-24」は、1という種類の香りの24番目の試作品を意味しています。ひとつの香水に対して何度も何度も試行錯誤を重ね、磨き上げた香りが形になっていることが想像できますね。

デザインに宿るのは「源氏香」の意匠

Canomaのボトルは美しく、装飾は最小限です。そのかわり、それぞれの香水には源氏香の図が意匠として用いられています。

源氏香は、香道の世界で行われる組香(くみこう)と呼ばれる遊びのひとつです。5種類の香を順にきき、どれが同じ香りかを当てるもので、組みあわせのパターンは全部で52通り。この52通りに、源氏物語から「桐壺」と「夢浮橋」を除いた52帖の名があてがわれ、それぞれに固有の図が用意されています3

画像出典: 楽天市場

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Canomaの香水では、たとえば「松風」のパッケージには源氏香の図の「松風」が。それぞれに付された帖のタイトルは、香水が持つインスピレーションに近いものが選ばれているそうです。

ちなみに源氏香の図は、香道だけで使われてきたわけではありません。近代の日本画や工芸品にも登場します。なかでも知られているのが、大正期の日本画家・岡本神草の代表作《口紅》です。

神草が捉えたのは、燭台の灯りのもとで紅を引く舞妓の姿。真っ白な肌、真紅の長襦袢、すらりと艶やかに細い指。彼女の手の紅板には、源氏香の「初音」があしらわれています4

香道の遊びから生まれた図が、大正の日本画では紅板に刻まれ、令和の香水ではボトルに刻まれる。同じ文様が、時代を超えて受け継がれる。そう考えると、Canomaの香水を選ぶことも、より楽しく感じられてきませんか。

Canomaの気になる香水5選

1. 蜻蛉|ほうじ茶のフローラル

蜻蛉は、ほうじ茶をモチーフにしています。茶葉のフローラル、“旨み”を感じるような磯っぽさ、ほんのりパウダリーなグルマンという3つを軸に、ほうじ茶の香りを再現することを試みたそうです5

源氏物語の「蜻蛉」は52帖。ひとつ前の帖の「浮舟」でヒロインが姿を消してしまった、その後が描かれる巻です。男たちの悲しみを捉えたものか、恋ばかりに心を砕く情けなさが主役か。どんな光景が想起させられるでしょうか。

2. 浮舟|中禅寺湖の驟雨

浮舟は、晩夏の中禅寺湖で誰もいない山道の驟雨を主題にした一本。ミモザ、アカシア、パウダリーなムスクに、マリンノートのコントラストが楽しめるそうです。

3. 松風|厳島の朝靄

松風は、朝靄に包まれる安芸の宮島がテーマです。海風と厳島神社、鹿の匂いまでも含めた島の空気。凛とした空気、心を落ち着かせるのにふさわしい一本かもしれません。

4. 幻|光に溶ける柑橘とハーブ

幻は、調香師であるジャン=ミッシェル・デュリエ氏が自由に描いた、軽やかで爽快な一本です。夏、旅先をひとりで歩き尽くすときに纏えば、心をそっと後押ししてくれそう。

5. 夕霧|コーヒーと家路の温もり

夕霧は、秋の夕方の急な雨がモチーフです。降ってきた雨に濡れたアスファルト、買ったばかりのコーヒー豆が湿度でじんわり香る帰り道。雨の日のカフェ、肌寒い夕方の散歩、夜遅く帰宅してリビングで一息つく場面にいかがでしょうか。

Canomaの魅力について、源氏香の図にも焦点を当てながら紹介してみました。楽しんでいただけたでしょうか。ぜひ、あなたにぴったりな香水に出会ってみてくださいね。

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Footnotes

  1. The Asahi Shimbun GLOBE+|「香水をデザインする」という仕事。あこがれをキャリアにつなげる私のヒント https://globe.asahi.com/article/14409164

  2. çanoma 公式サイト|Brand https://canoma-parfum.com/pages/brand

  3. コトバンク|源氏香 https://kotobank.jp/word/%E6%BA%90%E6%B0%8F%E9%A6%99-492071#goog_rewarded

  4. 田中圭子「岡本神草《口紅》──乱調にある官能美」 https://artscape.jp/study/art-achive/10102641_1983.html

  5. Yuta Watanabe | 渡辺裕太「「10-20」という香り」 https://note.com/yuta_watanabe/n/n1017c7e6ae50